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困ったアルコール依存症患者

ややこしいアルコール依存患者

アルコール使用障害と最近では言われるようになったが、アルコール依存症患者はとても手こずる。

癌患者が癌を宣告されたときにキュブラーロスという顛末をたどると言われている。

キュブラーロスというのはアメリカの精神科医で「死の受容プロセス」という概念を提唱している。

否認→怒り→取引→抑うつ→受容、という経過だ。全ての癌患者がこのプロセスに沿って感情が揺らいでいくとは限らない。

もちろん、アルコール依存の人達も全ての人に当てはまる法則というのはないけれど、結構、アルコール依存者の一面を捉えている気がする。

否認

否認:自分が死ぬということは嘘であるという病気を否認する段階。

アルコール依存症患者の場合は「私はアルコールで問題を抱えていない」と言う段階である。

アルコール依存症患者の場合はほとんどの場合、この「否認」というステップを踏む。

アルコール依存症と思っていないから精神科に通おうとも思わないし、家族に精神科に連れてこられても「退院させてください」「通院なんかしません」「私は病気ではありません」とか言ってくる。

いやいや・・・あんたが酒さえ飲まなきゃ皆ハッピーに過ごしてるんだよ!とついつい突っ込みたくなる。

本当にアルコール依存患者は治療への導入がめんどくさいし、医療者が寛容でなければやってられない。短気な性格の人だったら最初からブチ切れてるんだろうな・・・。

怒り

怒り:なんで自分が病気になったんだ!という怒り。癌患者は「なんでこんなに清廉潔白に生きてきた自分が癌にならなきゃいけないんだ!」と怒るようです。(本当か分からないが・・・)アルコール依存症患者で言ったら「なんで入院させられなきゃいけないんだ!」と怒るんでしょうね。他の身体科と違って精神化独特の出来事なのだけれど、自分からすすんで入院したり通院しない。アルコール治療のプログラムを始める前にまずは「退院させろ!」「いやまだ退院させれない!」の押し問答が繰り返させられる。人によって違うのだけれど数週間~3ヶ月くらいはかかる。アルコールプログラムどころではない。早く退院したいならさっさと入院すると諦めてさっさとアルコールプログラムを始めりゃいいのに・・・。

抑うつ

抑うつ:癌患者は癌であることを自覚して一通り怒りをぶちまけると、その後は気分が落ち込むと言われている。アルコール依存症患者であれば入院・通院を嫌々諦めている段階だろうか。この頃になると、アルコール依存患者は客観的に自分や周囲の人達を見つめ直すことができる。飲酒して人間関係や仕事や信頼がハチャメチャになったことに気付くことになる。自分の人生どん底だ・・・。そんな抑うつ期になる人が多い。

受容

受容:癌患者は抑うつ状態を抜けると自身の癌の診断を受け入れることになる。癌を受け入れて残りの人生を思いっきり生きていこう!と思う。そんな前向きな姿勢ばかりではないので、もちろん「はあ~、癌になってしまった。」「もう俺の人生は終わりだ。」と後ろ向きなまま人生を遂げる人もいるが。
アルコール依存症患者であれば、この段階になってやっとアルコールプログラムが始まって反省の念が出てくる段階だろう。「お酒はもう止めよう」「お酒はもうこりごりだ」「お酒で色々な人に迷惑をかけてしまった」と思う人もいる。アルコールプログラムを続けていれば断酒を続けている人もいるが、まあまあだいたい2度や3度また飲酒して精神科に逆戻りする。精神科に逆戻りするとまた「否認→怒り→取引→抑うつ→受容」を繰り返すことになる。


本当にアルコール依存症患者はとても手こずる。