精神科、統合失調症、メンタルヘルス、うつ病、心療内科

小島一郎の新幹線殺傷事件を見て思うこと

残忍な事件

2018年6月9日新幹線が小田原を通るときに起きた事件。20代男性が新幹線内で刃物をふりまわして2人の女性を傷つけ、1人の男性を殺害した。昔、仕事で小田原にお世話になったことがあったが、小田原で事件ってよく起きるんですよね。一昔前も新幹線内で油をかぶって火をつけて自殺を図った人も小田原を通るときに起きました。小田原液は東京出発して品川・新横浜を過ぎて、出発から30分くらいたった時に通過する駅だから、その辺になると犯人は決心がつくんだろうね。小田原駅も不運な駅だな。

 

密閉空間のセキュリティー問題

2018年6月9日新幹線で起きた殺傷事件を受けて色々な人が色々な意見を述べている。そのひとつが新幹線のセキュリティー問題だ。新幹線内は密閉空間で小島一郎のような変な人が刃物を振り回し始めると逃げるに逃げれない。もっと新幹線のセキュリティーをしっかりしろ!という意見がある。

たしかに中国に旅行に行ったことがあるが、電車に乗るだけでも、警備員がいて荷物チェックを受ける。すごい簡単で「本当に確認しているのか!?」と感じてしまったが、表面上だけでも警備していた。

日本でも新幹線に乗る人達に荷物チェック・身辺調査・ID確認などセキュリティーを強化しろと。確かに事件の抑止力ができるし、警備員が1車両につき1人~2人くらいいてくれれば安心だ。1駅1駅の間が長くて逃げ場所がない新幹線内で安心して乗車できるのは良いことだ。

JR側はセキュリティーを完全にするほど人員やコストが負担できない、乗車に間に合わなくなる、ということでセキュリティーを今以上に強化することは困難、という意見だ。セキュリティー強化を強く要望するのであれば、切符代は高くなるだろうし、新幹線の本数は少なくなり、満員気味な状態で新幹線に乗車しないといけなくなる。そこまでしても、セキュリティー強化を望むか・望まないかの選択に最終的になるのだろうと思う。

 

でももっと大事なこと

セキュリティー強化をすれば事件は1/10~1/100くらいにはなるのだと思う。でも小島一郎みたいな「人生を捨てた」「やけくそ」な犯罪者はそんな中でも事件を起こすのだろう。新幹線だけじゃなく電車内・公共施設など事件を起こす場所はいくらでもある。やろうと思えばどこででもできる。

セキュリティー強化も大事なのだが、もっと大事なことがある。それは小島一郎のような社会から拒絶された孤独な人をどうやって減らすのか、ということだ。小島一郎という人物を一から十まで知っているわけではない。ただ第一印象を見ると感じるものがある。おそらく自閉症傾向があるんだろう、と思っている。自閉症って何?という人がいると思うので簡単に表現すると「コミュニケーションが苦手」とイメージしてもらえればいい。コミュニケーションが苦手だから仕事についても、人間関係でギクシャクしてしまいすぐに辞めてしまう。本人はなんとか仕事を続けたいと思っていてもなんだかんだギクシャクして辞めてしまう。「自分は価値がない人間なんだ」退職を繰り返すたびに、就職失敗を繰り返すたびに、そういう気持ちになるのも不思議ではない。

辞めた後は友人も少ないから誰とも会話をすることなく、繋がることもなく、ただポツンと孤独に生きていくことになる。本当に孤独なのだ。社会とのつながりがなくなる。

私自身も高校くらいに引き篭もる経験をしたことがあったが、そのときは本当に孤独だった。社会的孤立状態で辛い気持ちは、唯一、話をする家族に向けられる。私が引き篭もっていた時期は本当に心がドロドロしていたし、うっぷんとしていた。何か怒りが心の中で沸々と湧いていた。

誰かに救ってもらいと思うのだが、知的障害でもないし、事件を起こしているわけでもないし、精神疾患を患っているわけでもない、から医療の対象でもなかったし行政の対象でもなかったし、警察の対象でもなかった。助けを求めていても、求める先がなかったのだ。小島一郎を見ていると、確かに許されないことをしたが、孤独の行き着く最終地点まで行ってしまったのだなと思う。こんな悲惨な事件が起きる前になにかできたのではないかと思う。 

 

我々ができること

医療・福祉・行政で働く人達が小島一郎のような社会的孤立している人達と接するしかない。だってお金ももらえないのに小島一郎のような人と果敢にも話をしたいと思うか?そんな人達はいないだろう。

我々、医療・福祉・行政で働く人達はお金をもらっているから、果敢に小島一郎のような人達と積極的に接する。「結局金か・・・」とか感じる人もいるが、でもそれが現実だ。お金でももらわなければ積極的に会おうとは思わないだろう。

我々ができることはとにかく孤立状態に陥っている小島一郎のような人、家族と会って話を聞き、良いところを探して小さなことでもいいから褒めてあげることだ。どんなことでもいい。話を聞いて褒めて褒めて褒めて・・・。孤立になっている人はたいがいは自信がなくて他の人と接することに怯えている。まずは自信をつけさせてあげることが大事だ。褒めて嫌な気持ちになる人はいない。褒めて自信をつけさせて「少しは社会に一歩踏み出して社会と関わってもいいかな・・・」そう思わせることから始めることが大事だ。そういう風に思うまでどれくらい時間がかかるかは分からない。数週間で思う人もいれば何年もかかる人もいる。結局最後まで思わない人もいる。だけれど「俺社会でやっていけるかも」と思わせる小さな小さな可能性を信じながら、お金をもらっている医療・福祉・行政スタッフが関わりつづけるしかないのだ。